口でいかせて・・・
- 2008/01/20(日) 16:14:25
後藤 敏子
レスになって6年くらい経過した。彼と始まるずっと前からである。レスになる前数年も、口で最後までいかせることはもちろん、愛撫さえしてあげなかった。夫婦生活は敏子の方がマグロ状態だった。自分から求めることはなくなっていたし、そんな妻にイヤになって、夫も求めなくなってしまった。
さて、敏子と彼の場合である。 実は彼とのデートのパターンは、車の中でHというのがほとんどである。他のカップルの場合、
「車の中では口で・・・」
のようだが、敏子たちはちゃんと最後までしてしまう。ただ、つきあい始めの頃は、車の中でそんなことするのにすごく抵抗あって、自分から頼んで口でいかせてやっていた。
口でいかせてあげた時って、それはそれで女の方にも不思議な満足感・幸福感がある。そんな時の彼は、ノーマルでいった後よりも、ぎゅっと痛いくらい強く抱きしめてくれて、いっぱいキスしてくれる。それって、やっぱり「嬉しい」「感動!」の気持ちの表れなんだと思う。そして、そうされた敏子は幸福感に包まれる。
車の中のHにも次第に抵抗がなくなり、彼を求める気持ちが強くなってからは、口でいかせる行為はほとんどなくなった。でも、いつも愛撫はたっぷりしている。この行為も、行為自体は自分がよくなることではないけれど、彼がよくなってくれる、それが嬉しくて夢中でしている。
実は敏子の彼はその逆の行為をしようとしない。何度か体を重ねた後、
「してほしいことがあるの・・・」
と言ってみたところ、彼は、
「ごめんね、僕はあの臭いが苦手で、どうしてもできない」
と言われてしまった。でも、それがなくても、じゅうぶん敏子は満足できるHだし、
「でも、それ以外のことだったら何でもするよ。いっぱい感じてほしいから」
って言って、あること(ちょっとはずかしくて書けないが・・・)をしてくれた。彼の気持ちが嬉しかったし。そんなことしてもらわなくても、十分すぎるほど、彼とのHに、体だけじゃなく気持ちも満たされ、本当に幸せな気持ちになれている。
だから、仮にそういう行為をしないからといって、それは愛情がないと言えるわけではないと思う。やっぱりセックスって、愛情がなくてもできるかもしれないけど。愛情があるかないかは、ちゃんとお互いに伝わると思う。
それから、会うたびに求めてしまう男心についてだが、最初の頃はこのことに戸惑っていた。
「Hしたいから逢いにくるの?」
みたいに責めたこともあった。
でも、三年目に入った現在、逢うたびに抱かれたいと思うようになり、今はHなしデートはほとんどない。一緒にいられる時間が短いということもあるのだが。その短い時間で、大好きな彼の気持ちをいっぱい感じていたい。自分の気持ちもいっぱい感じてほしい。充実した幸福感を味わいたい。その最たる方法がHなのだと思う。でもそれは、Hで彼の気持ちを感じて幸福感にひたれるからであって、けっして快楽のみを追求しているわけではないと思う。
敏子さんとはここ↓で会えます。
その10
- 2008/01/19(土) 19:12:31
<件名:モーニン>
「雅子、お・は・よ。
夕べはお疲れ様。あれからずーっと君の事ばかり考えていたよ。こんな時はお互いに写真がないと困るね。俺の写真も送るから、そっちの住所が知りたい。それから今日の午後2時を忘れないでね。 こっちの住所は次の通り福岡県……」 忠則
忠則は11時を待ちかねたようにPCを立ち上げるとメールチェックした。以下のメールが届いていた。
<件名:お昼メール>
「忠則さんわかったわ。雅子も後でアルバムを探しておくわね。こっちの住所は次の通りよ。○○○…」 雅子
忠則はインスタントラーメンを作って手早く昼食を済ませた。テレビの笑っていいともを見た。他にもチャンネルを回したりして時間をつぶしていると、待望の午後2時がやつてきた。
<件名:いますか>
「いたら返信して。それからネットには接続したままだよ」
忠則
送信と同時にメールを受信した。
<件名:準備完了>
「忠則さんこちらはOKよ。カーテンも閉めたし。玄関の鍵も掛けたわよ。ねえ。次はどうしたらいいの」 雅子
忠則の心臓がドクンドクンと打ち始めると次第に喉の渇きを覚えるようになった。タイピングする指先が震え始めた。
<件名:RE 準備完了>
「雅子。好きだよ。この日を待ちわびていたよ。Kissしていいかい。ハイと返信して。」
忠則
「ハイ」 雅子
「はじめていい?」 忠則
「いいのよ。忠則さんKissして」 雅子
ふたりの脳はインターネット回線を介して完全に一体化している。肉体の結合こそないが脳同士は完全につながっているのだ。頭の中はすでに真っ白である。誤字脱字が多くなり、文章は体をなさなくなり、卑猥な単語がネット上を飛び交う。 頭の中では空想と現実の区別がつかなくなる。というより脳は空想と現実の区別がつかないから、本当にセックスをしている状態なのだ。次第に快感は高まり恍惚となってお互いに自身の股間をまさぐらねばならないところがネットラブの空しさではあるが、めくるめくひとときには違いない・・・・・・。
その11、
ネットラブ独特の快楽をむさぼった後の脱力感と疲労感に襲われ、30分ほどぐったり横たわった。この日以来、ふたりの仲は急速に接近し、ネット妻、夫と呼ぶようになった。お互いにメールを待ちわびるようになり、メールチェックも頻繁になった。
PCに夢中になってかじりつく母の後ろ姿を高校生なったばかりのミニ雅子は不安気な様子で眺めていた。母親の心の異変を敏感にミニは察していた。雅子も娘の視線は気になった。しかし、たとえ母の秘密を知ったとしても、ミニは父親の存在を疎ましく思っているので、夫に告げることはしないだろうと雅子は思っている。多感な少女は父親の洗濯物をまるで汚い物でも眺めるようなった。自分の下着と父親の下着が同じ洗濯機で洗われることを極端に嫌がるようにもなった。
亭主の我がままは相変わらずだ。日曜は1日中家にいて、パジャマのままテレビを見ながらゴロゴロしている。些細なことですぐ怒る。亭主の嫌いなオカズが食卓に並んでいると、すこぶる機嫌が悪い。母子は重苦しい雰囲気の中で食事を摂らねばねばならなかった。
雅子はミニを帝王切開で出産した。その後ひさしぶりに夫婦の営みが行われようとした。その際、出産へのねぎらいの言葉は全くなかった。代わりに、「傷痕を見たら気持ちが萎えた」と雅子の心にグサリと突き刺さるひどい言葉が夫から投げつけられた。確かにムカデが張り付いたような傷痕は見苦しい。自分でもそう思う。しかし、 貴方の子どもを生んだのよ。それなのにいくらなんでも、そういう言い方は無いんじゃないの。ひどすぎるわ。この男の子どもは二度と生まないと雅子は硬く心を閉ざした。
ネット上で結ばれてから3日後に忠則の元に雅子の写真が届いた。平均的な日本人の顔をしているが、清楚な人妻という感じがする。
忠則の写真を雅子が手にしたのも同じ日である。
「あ、なかなかハンサムだわ」
こちらは俳優の児玉清似である。七、三の髪型が良く似合っている。夫のバーコード頭とは大違いだわ。忠則さんカッコいいわ、好きよ。雅子は写真にKissをした。
その12、
メール誤送信騒動
雅子から写真が届いた次の日のことである。忠則がパソコンを立ち上げてみると、おかしな新着メールが見つかった。
<件名:旅のお供を>
「 会社が終わって午後から美容院に行ってきたの。奇麗になった私を見たい、でも残念、想像して。メールチェックしたら一郎さんの宅急便がきていた。嬉しかったわ。会議の前にちょっと刺激しちゃったかしら。会議はうまくいったの。雅子なんて言わなかったでしょうね。この不況を乗り切ることで、どこも大変そうね。一郎さんのところはどう?大丈夫よね。仕事中に恋のメールを書いているんですもの。
さっきは新潟の女性(ひと)のことをよく知らずに、勝手なこと書いてごめんね。メールを読み返していたら、また各駅停車のメールがあったの。お互い同じ時間を共有していたんだなあと思った。今日は何回も有り難う。少しづつお互いを見つめ合っていきましょう。私も各駅停車に乗せていただくわ。これから新潟行きの各駅停車に乗るから、着いたら優しく抱きとめてね」 雅子
忠則はメールを読んですぐに事態が飲み込めた。雅子が他のメールフレンドに送信したものが間違って忠則の元に届いたのである。きっと送信ボタンを押さずに間違って全員ボタンを押したのだろう。お互いのメーラーはアウトルックエクスプレスなので理解できた。他はどうだか知らないが、アウトルックでは、全員ボタンを押せばアドレス帳に登録されている全員に配信される仕組みだ。大切なメールの送信には十分気を付ける必要がある。特に恋のメールを書いているときはテンションが上がっているので間違いを侵しやすい。案の定そうだった。雅子からお詫びのメールが30分後には届いた。
<件名:いつか見て>
「 メールの誤送信ごめんなさい。送信ボタンと全員ボタンを、間違って押したらしいの。メル友は二人だけど、Eメールを最初に教えてもらった友人の旦那さんへも誤送信したみたい。アドレス帳には、北陸の彼と忠則さんと友人の旦那3人を登録しているいるから。もうとってもヤバイ。忠則さんなら、お互い様で許してくれるかも知れないけど。(でも、ちょっと熱が冷めたかな。雅子にとってはその方がいい。奥さんさんのことが重なって少し冷静に考えられるし。熱くなってこのままいったら方向を間違えるかも知れないから。)
友人の旦那のこと、どうしよう。メールの怖さを見にしみて感じているわ。言い訳もできないし。どうしよう。不倫現場を相手の奥さんに見られた感じ。忠則さん天罰だと思ってるでしょ。もうメールできないかも知れない」
雅子
忠則は、彼女を少しでも安心させよう以下のメールを書いた。
その13、
その9
- 2008/01/12(土) 10:21:04
雅子からOKの返事をもらった忠則は一日中落ち着かなかった。夜になるのが待ち遠しくて夕食も上の空でかき込んだ。9時になると妻がいつもの連ドラを見始めた。忠則は子どもたちが抜け、空き部屋になった部屋にPCを置いている。そこに篭った。PC雑誌に目を通しながら10時が近づくのを待った。こんなときに限って時間の経つのが遅い。9時45分になると待ちきれずにPCを立ち上げた。妻が不意に部屋に入って来ないように鍵をかけようかと思ったが、かえって怪しまれそうのなで自嘲した。忠則は5分前になると待ちきれずにネットに接続すると第一報を送った。
<件名:いますか>
「雅子。いますか?いたら返信を下さい」 忠則
何度も送受信ボタンを押して見るがまだメールは届かない。忠則はアセった。だが、時計を見ると、まだ針は10時を過ぎた過ぎたばかりだ。3分ほど待ってようやく雅子からの返事が届いた。
<件名:RE いますか>
「忠則さん、いるよ。今アクセスしたばかりなの。でも。主人が横でテレビを見ているわ、当分寝るけはいはなさそう。どうしよう。このままでは嫌よ。普通のメールならいいけど。
ねえ。どうしたらいい?」 雅子
返信メールを読んだ忠則の気持は、急に沈んだ。しかし、こういう思惑違いは男女間の秘め事には生じ易い。お互いに妻を持ち、夫を持つ身である。相手がこちらの読み通りの行動をとるとは限らない。楽しみは先に伸ばすほど大きい。今夜は見送ろう。忠則は予定変更のメールを送信した。
<件名:予定変更>
「雅子。今夜は中止だ。明日午後2時にアクセス出来ないか。昼間なら誰もいないだろう。返事がほしい」 忠則
忠則が雅子からの返信を待っていると10分ほど経ってから送信されてきた。
<件名:お休みメール>
「忠則さん。明日の昼間は予定が無いからOKよ。明日午後2時ね。わかったわ。 仕事が1時までだから終わったらすぐに帰るわ。では、お休みなさい忠則さん 」 雅子
忠則はメールを確認するとPCの電源を落とした。
翌日、忠則はいつもより早く起きた。NHKの朝の連ドラを見終わるとさっそく雅子へモーニングメールを送信した。
その8
- 2007/12/10(月) 19:23:09
お互いに家庭のある身。それぞれの家族は大切にしながら、ふたりの愛も育んでいく。家には決して電話をしません。携帯での連絡のみ。私は、着信を入れるだけ。コール1回で切るの。そうすると彼が、都合のよい時間を見計らってつないでくるわ。 そのひとは建材屋の社長なの。昨年の10月頃から急に忙しくなって、なかなか会ってくれないわ。私の寂しい心もわかってほしいのに。逢えないと気持ちも自然と離れてしまうわね。
でも。この歳(43)で一時的にも恋する時間を持てたことには感謝しているわ。良妻賢母を演じるのも疲れるの。たまには、女として見てもらいたい・・・・・。
主人とは、もう何年も夫婦生活はないのよ。ふたりとも健康なのに。夫に女性の陰を疑ったけど、そうでもないみたい。仕事のストレスでそうなっちゃうひともいるんだって。何かの本に書いてあったけど、そうかもしれないわ。でも、主人のことは元々好きで一緒になったわけじゃないのよ。私が失恋したばかりのとき、友人に紹介されたの。選んだ理由も真面目そうなのと、郷里が同じだったからよ。驚いたでしょう。そろそろほろ酔いになったかしら。じゃあ。おやすみなさい 」 4月16日 雅子
このメールを読んで忠則は雅子もその気になっていることを確信した。 後はネット上で彼女を抱けばよい。忠則の趣味は雑誌の読者コーナーなどへの投稿である。拙い文章ながら熱心に出していると時々掲載された。他に文の会という文通を趣味とする集まりに属しいていたので文通恋愛は体験みである。忠則は、今夜雅子を抱きたいという欲望を押さえ切れなくなって次のようなモーニングメールを送信した。
<件名:モーニン>
「雅子、おはよう。こちらは朝から良い天気ですが、そっちはどうですか。昨夜のメール、有り難う。少し驚いたけど、今の世の中、ほとんどの夫婦が浮気しているから、雅子のケースは普通だよ。これからの時代は一夫一婦制ではやっていけないと思う。これだけ多様化している社会だもの、色んな価値観があってしかるべきだよ。
毎日一緒に暮らしていればお互いの粗も見えてくるし。飽きがくるんだね。だからセックスパートナーを配偶者以外に求めてしまうのも、人間の本能として、しかたないんだよ。僕も妻を愛しているのに、欲情しないんだ。妻とはセックスできないよ。でも性欲は定期的にやってくるからね。自分で処理するなり。風俗へ通うか。するんだけど。どちらも愛の無い機械的なものだから心底満足できないんだ。雅子。お願いだよ。君に僕は夢中だよ。近くにいればすぐに逢って抱きたい。でも今それは不可能だが、いずれ君に逢いにゆくつもりだ。それまで辛抱できないから、今夜ネットで君としたい。10時に接続してくれないか。僕も同時にアクセスするよ」 4月17日 忠則
雅子からの返事はその日のお昼時過ぎには届いた。
<件名:お昼メール>
「いま。会社でメール書いてるの。ひとりだから。雅子はこの時間が一番好き。誰にも邪魔されずにメールが書けるから。うちだと娘や主人がいて落ち着かないわ。今夜10時に接続すればいいのね。了解よ。楽しみだわ。あっ。人がきた。取り急ぎ送信」
4月17日雅子
その7
- 2007/12/09(日) 08:52:14
11時頃にメールチェックすると忠則からのメールが届いている。忠則は朝からKissをせがみ、胸を触らせてくれないか。といった内容のメールを送信してくる。 雅子には、この時間が一人っ切りになれる唯一の時間である。熱いメールをドキドキしながら読み、返事を書く。彼女はメールの中で鼻を鳴らしてやんわりと拒む。忠則は柔らかく拒絶する女の態度にさらに想像力をかきたてられ、夜のメールはさらにヒートアップした。
<件名:おまえが好きだ>
「おまえが今、俺のそばにいるのならすぐにでもおまえを押し倒し、強引におまえの口ビルを奪ってしまうだろう。そして。俺の手は、スカートをたくし上げ……。
ああ。なんでおまえは関東なんだ。翼があればおまえの元に飛んで行きたい。ネットの中でおまえを抱きたい。この夢をかなえてほしい」 愛しの雅子へ〜忠則
雅子は、このメールを家族がいる自宅の居間で受信した。テレビを見ている夫を横目で見ながら熱いメールに目を凝らす。男からのメールを読んでいると背後に夫の視線を感じるような気がする。旦那から心の中を見透かされているのではないかと不安になる。が。この緊張感がいっそう雅子の心を高ぶらせる。
忠則は寝る前にメールチェックしたがテレホタイムで混雑してつながらない。しかたなく蒲団に入った。だが眠りが浅く、夜中に目覚めた。こっそり起きてPCを立ち上げメールチェックした。待ちわびた雅子からの返信が届いていた。
<件名:お休みなさい>
「忠則さん。お休みメールが遅れてごめんなさい。熱いメール。嬉しかったわ。雅子から軽くお休みのKissをチュッ。 大好きな忠則さんへ〜雅子」
忠則は、雅子からのお休みメールを読んでようやく眠りに就くことができた。雅子が1人で事務所にいると、尋ねて来る営業マンに食事を誘われることも多い。翌日、次のようなメールが忠則の元に届いた。
<件名:告白するわ>
「濃厚なメールには少し戸惑ったわ。だけど嬉しかったことも事実よ。私を女として見てくれてありがとう。でも、ネットラブって経験がないから忠則さんの熱いメールにどんな返事をかけばいいか悩んでいるの。雅子はイケてる主婦というより、ちょっと危険な主婦かな。忠則さん、聞いてくれる。少し長くなるけど。その前にお酒が飲めるなら、一杯飲んでほしいの。日本酒かな。それともワイン。私はなんでもOK。(ほとんど飲む機会なし)
私は、真面目な主婦でした。去年の夏の日までは。会社でひとり事務をしているところに、見知らぬ営業マンが来社。世間話をしていると、ちょうどお昼になり、食事に誘われたの。会社に出入りしている営業マンに誘われることはよくあるのよ。でも、一度だって応じたことはなかったわ。この時は、魔が差したとでもいうしかないわ。すんなり食事に行けたもの。それからふたりは恋に落ち、長く辛い日が続いているの。
その6
- 2007/12/07(金) 11:36:40
忠則は、10日目になると雅子に愛を告白することができた。不自然さはなかった。未知の世界に足を踏み入れたという仲間意識も手伝ってか、お互いの感情を素直に受け入れることができた。雅子は、現実の世界で告白されているような気がして胸のトキメキを覚えた。姿が見えない分、お互いの想像力が掻き立てられ、感情移入が激しくなる。自分たちが主役を演じる恋愛という虚構の世界へひたすら陶酔していったのである。
顔を見たことも声を聞いたこともない。それでも千キロかなたの相手に、恋愛感情が芽生えるという不思議な人間関係が成立するのがメールの世界なのだ。2週間が過ぎると忠則は、雅子さんとか。あなたは。と呼んでいたのを止めて「雅子」と呼び捨てた。 夫はいつも「おまえ」か「おい」としか呼ばない。男から名前を呼捨てられることが雅子には新鮮だった。
このまま夫と子どもの世話をしながら老いてゆくのかと思うと、雅子の心は空しかった。これからはドキドキすることも楽しいことも無く、満たされない人生を惰性で送るのかと思うと気が重かった。だが。昨夏はタイプの恋人にもめぐり合った。すっかりごぶさたしていた男女の喜びも久しぶりにたんのうできるようになった。と。喜んだのも束の間だった。今度は、その恋人が、妻バレすることを怖がり、とんとつなぎをくれなくなった。恋人とうまくいかなくなったので、その寂しさと、普通の暮らしでは満たされない物をメールに求めた雅子だった。
満たされないものとは何か。それは好奇心や刺激と言えるのではなかろうか。 人生とは本来、先の見えないドラマだったはずだ。しかし、現実の毎日は平凡な淡々とした、何の変化もない人生になっている。その理由は、整備された現代社会に依存した生活によるのだが、ほとんどは己自身の「妥協、馴れ合い、あきらめ、飼い慣らし」の生活態度と思想に起因している。危ないことはやめましょう。安全第一が基本です。そう考えて一生を安泰に過ごすことはりっぱなことだ。世間や家族親族に迷惑をかけないで済む。このように良識ぶった価値観に飽き飽きしていたふたりにとって、電子メールでの交際はたまらなく刺激に満ちた世界となっていった。
忠則はメールの中でKissをせがんだ。雅子は、「じゃあ、おやすみのKissだけにしてね」と夜のメールで書いた。忠則はこの夜、なかなか眠れなかった。 妻の由美子が仕事に出かけた後、PCを立ち上げ、モーニングメールを雅子に送信するのが最近の忠則の日課となった。
雅子は娘と旦那を送り出してから猫と犬に餌をやり、パートにでかける。会社は社長と雅子のふたりだけだ。40代半ばの社長は注文を取ってくるだけで工事の方は下請に丸投げしている。10時頃になると社長は外回りに出かけた。後は雅子の天下となる。事務所のFAX用ケーブルをたぐると上手い具合に25ピンのコネクターが見つかった。自分のノートパソを接続してこっそりメールの送受信ができるようにした。
ちょっとHな人妻倶楽部・・・夫には秘密でお願いします
その5
- 2007/12/06(木) 15:03:00
雅子は最初、おいおい、そんなつもりはなかったと言えばウソになるが、少し早すぎやしないかい。そんなに簡単に知らない人を好きになれるものかね。アタシをそんなに軽くみないで。恋をするにもちゃんとしたプロセスが必要よ。それなりの恋愛経験だってあるし。友達の不倫の相談にも乗ってあげてるんだから。
と一応はこんな風に理屈をこねる。しかし、忠則から送られてくる、「文章も簡潔で上手い。かわいい。好きだ。魅力的だ」などと書かれた心地良いメールの集中豪雨に抵抗できなかった。こんな言葉は夫の口から一度も聞いたことがない。去年から付き合い始めた彼も、最近では、釣った魚には餌はやらないという態度だ。もう誉めてくれることはほとんどしなくなっている。
雅子は誉められることに飢えていた。仕事のことも家事のことも。夫は何も認めてくれない。女としての魅力も。仕事の能力も。私には無いのかしらん。周囲からはそう見られているような気になっていた矢先だからなおさらである。たとえお世辞だとわかっていても、
「好きだ。愛している」
と言われれば雅子の気持ちは舞いあがってしまう。必ず返事は書いた。こうしてふたりともメールの持つ摩訶不思議な魅力にグイグイ引き込まれていった。毎日2〜3通のメールが行き来するまでに10日とはかからなかった。メールの世界では親密になる度合いが異常に早いのが特徴だ。
メールの恋愛は普通の恋愛とは違う。それなりの男性経験があって、友人や後輩から恋の相談を受ける大人の女が、まるで中学生のように翻弄されたりする。結婚して子供もいる女性が、家事をしながらメルフレのことをうっとり想うようになっていく。これは、はまってみないとわからない。
見知らぬ男性と知り合い、話をすることなんてなかったしがない主婦は、男の誉め言葉に疑心暗鬼になりつつも、心の中では許してしまう。主婦は誉められることに慣れていないから、お世辞にでも誉められる事には弱いのだ。出産を終えれば、亭主の目から見てはっきり言って女、終わっている。体型も変わり胸はたれアソコも黒ずんでいる。土星の輪のように腰まわりに肉もたっぷりついている。
寝不足でクマはできているし。化粧も最低限。だれだれちゃんのお母さん。とか。おばさん。と呼ばれたりしていれば、知らない人から誉められることに免疫がなく、誉められるとすぐに舞いあがってしまう。
ちょっとHな人妻倶楽部・・・夫には秘密でお願いします
その4
- 2007/12/05(水) 09:19:55
真心を込めたメールを送れば女性もこちらの気持ちに答えてくれるだろう。理路整然としたメールを書いて、たとえば議論に勝利したとしても相手の心は動かない。人間は自己の利益のためか、好きか嫌いかの感情で行動する動物だということを肝に銘じておいた方が良い。とこれもある達人のホームページを閲覧中に発見した言葉である。ふむふむ。なるほど。と忠則は、先達者らの人間観察が的を得たものであることに、舌を巻く思いである。
文章はヘタでも良いから、気持ちのこもったメールを書くことが肝要なのだ。と度々先輩から学び、最近は中流の腕前を自負する昨今の忠則である。ネットラブでは、親善モードから恋愛モードへの切り替えるタイミングが一番難しい。あまり恋愛モードを前面に押し出すとメールが止まることがあるからだ。しかし、茶飲み友達モードばかりではつまらないし、続かない。いつか会えて、もしかしたら、という期待感があるからこそ男はセッセと面倒くさいメール交換を続けられるのだ。ハナから期待できないとわかっているなら、面倒なメール交換など大方の男は見向きもしないないだろう。
中には純粋なメール交換を希望している。とのたまう御仁もおられるだろう。が、多くの男性諸君は、何がしかの下心を持ってメールフレンドを探しているのに間違いはない。また女性の方も夫や恋人以外の男性とトキメキたいという密かな期待をもっている。しかし、それは女性の方からはなかなか言えないのである。
人妻というのは、独身以上にスケベ話に軽い乗りで反応することには抵抗感を持っている。それは「不倫」という言葉の持つイメージが背徳の行為。うらぎり。といったものを連想させ、罪悪感を増幅させるからである。反面、こわいもの見たさというか、本音の部分では「不倫」に対して強い興味と憧れを持っている。自分も恋愛ドラマのように、身も心も焼き尽くす、激しい恋の炎に包まれてみたいという、密かな欲望を隠し持っている。このまま夫と子どもの世話をしながら一生を終えるのだろうか。私の人生は、いったいなんのだろう。ふと立ち止まって考えてみる。私だって女よ。すてきな恋にあこがれる気持ちを持ってどこが悪いの。
とは言うものの、離婚の面倒さと夫に依存しすぎた経済力のなさを考えると、新しい人生に踏み出す自信も勇気もなく、諦めと妥協で悶々としている。
こんな人妻たちを誘惑するとき、「不倫」という言葉は禁句である。「不倫」という言葉の持つ罪悪感を明るく払拭させ、悪いことをしているのではない。と錯覚させてやる必要がある。他の言葉に言い換えて安心させるのだ。
「僕と浮気しませんか」
うーん。これでは軽い。軽すぎる。もう少し、もっともらしい方がいい。「僕と小さな冒険をしませんか」「小さな恋」「ちょっとだけ好きになってもいいですか」うんうん。だんだん良くなってきた。とにかく、彼女たちの心の鍵をなんとかしなければネットラブはおぼつかない。この鍵さえ開けることができれば、大河のような欲求の濁流をメールの中に解放してあげることができるのだが。しかし、それがなかなか難しい。ゆえにここが腕の見せ所と言える。
ちょっとHな人妻倶楽部・・・夫には秘密でお願いします
その3
- 2007/12/04(火) 09:35:05
現実の世界では相手の顔も服装もわかっている。それに声も聞けるから誉める口実には事欠かない。口が小さくてかわいいね。髪がいつもサラサラしていて清潔だ。おやおや。美容院へ行ったのかい。昨日より今日のヘアースタイルの方が決まっているよ。ピンピンはねた感じのヘアーが現代(いま)っぽいね。透き通った感じの声が魅力的だ。などと臆面も無く誉めれば良い。
誉められて怒る人は、まずいない。たとえ誉めてくれる相手がおじいちゃんやおばあちゃんでも。綺麗ですね。ハンサムだといわれれば人間誰しも嬉しい。現代人は意外と誉められるか機会が少ない。会社でも家庭でも学校でさえも、めったに誉められたりはしない。誉められるということは相手から認めてもらえるということだから、人はだれでも人から認められると嬉しくなる。ゆえに誉めるという行為は人間関係の潤滑油となる。
相手に好かれたいと願うなら、まずどんなところでも良いから、相手を誉めてあげることだ。忠則は、これまでの経験から学び、そう信じている。メールの世界は、文字だけのやりとりだから、初めのうちは相手の文章を誉めるしか方法がない。メール交換が始まってすぐは数行のメールが届くだけなので誉めるのにも骨が折れる。写真でもあればヨイショも楽なのだが。普通の女性は最初のうちは、なかなか写真を送ろうとはしない。
すぐに相手の女性から画像がを送ってくるようだと、それはかなり怪しい。男が女になりすましたネカマと呼ばれるネットオカマであったり、悪質な業者の手の込んだ恋愛商法の入り口であったりするのがネットの世界である。
顔も知らない相手をどうやって誉めるのかなどと頭を抱えているようでは、メール国の不思議な甘美さを体験することはあきらめたほうが良い。めくるめく快感のひとときに身を委ねたいと願うなら、誉め上手になることだ。また、たとえその道を極めたと自負する者でも、日々その修練を怠ってはならない。ネットの世界は、秒進分歩の世界である。少しばかりの実績にあぐらをかいているようでは、じきに高転びするだろう。
とにかく、何が何でも相手の良さを見つけ誉めてやることだ。ちょっとした言葉を捕らえて小さく誉める。これが後でボディーブローのように効いてくる。しかし、誉め方にも気をつけないといけない。余りにも見え透いた誉め方はすぐにウソだと読まれてしまう。うまく誉めるためのコツは相手に惚れることだ。恋愛にウソは通用しない。ただモノにするだけのその場しのぎの言葉なのか。本当に自分のことを好きになってくれた上でのラブコールなのかは、顔が見えないだけに、女性は敏感に察知する。
何も大真面目になる必要はない。メールの世界はあくまでもバーチャルだから、メールを書いているその時だけマジになればよい。誠心誠意、愛情を込めてメールを書くのだ。
「あなたが好きだから。あなたのことが好きで好きでたまらないから。身も心もひとつになりたいのです」
ちょっとHな人妻倶楽部・・・夫には秘密でお願いします
その2
- 2007/12/03(月) 13:07:33
自らの青春時代もそうだったから、子どもたちが順調に育っていることが嬉しくもあった。しかし、妻とふたりだけの暮らしでは会話もほとんどなくなった。これから先の人生を考えると、時折、言い様の無い寂しさに襲われる。リストラされたことが、これらの気持ちによけい拍車をかけた。今は、時代に取り残されまいと必死で覚えたインターネットの世界にのめり込んでいる。
林雅子(43歳)は関東地方の某市で、49歳のサラリーマンの夫、今年、高校1年生になったばかりの娘と3人で暮らしている。他にフュレットと猫も同居している。1戸建てのマイホームは、築13年だ。 雅子は午前中だけ近くの個人経営の建設会社にパートに出ている。彼女は若い頃、都内の情報処理専門学校に通ってコンピュータを基礎から学んだ。卒業後は都内の金融機関でプログラマーとして勤務。ここでSEの技術も習得した。
26才のとき、現在の夫と見合い結婚して家庭に入った。パートの他にも3つの会社からパソコンとシステムのメンテナンスを請け負っている。いつ得意先からトラブル発生の呼び出しがあってもいいように携帯は手放せない。他にも個人向けのPC教室も開いているが、いずれも大した稼ぎにはならない。
ふたりのメール交換は、どのネットラブもそうであるように、最初はとりとめのないものから始まった。しかし、男がメールフレンドに期待するものはいわずもがなである。5通目ぐらいから忠則は好意を持っていることを匂わせるメールを送った。最初は、
「文章のセンスがいいですね、簡潔でとても読みやすい」
などといったものから、
「こんなにすてきな文章を書かれるのだから、魅力的な女(ひと)なんでしょうね)
といった風に誉め言葉のレベルを徐々にアップし、
(あなたの文章にひきつけられ、最近の僕はメールチェックの回数がとても多くなりました。雅子さんからのメールが待ち遠しくて待ち遠しくて。あなたのメールを読んでいると思わずドキドキしてしまいます)
といった風に徐々に恋愛モードの文面へ転換させていった。実は、この辺がひとつのポイントになる。相手によってはここでぷっつりメールが途絶えてしまう。こういう手合いは純粋なメール交換を求めている。最終目的がいただく事にあるのなら、深追いしても無駄なのだ。さっさと気持ちを切り替え、新しい相手を探す方が賢明だ。
ネットの世界ではその気にさえなれば相手はいくらだって見つかる。ゆきずりの瞬間湯沸し器のような、後腐れのない恋愛に憧れている女性は以外に多い。と自らのテクニックをホームページ上で公開し、後進の指導に熱心な30代後半の経験豊かなN氏から忠則は聞かされていた。
ちょっとHな人妻倶楽部・・・夫には秘密でお願いします
その1
- 2007/11/30(金) 00:05:13
<パソコンも低性能で、ネットでの出会いもまだ珍しい時代の話である>
満開の桜で賑わうおだやかな昼下がりのことである。忠則は、いつものように出会い系ホームページの掲示板を閲覧し、10通のメッセージを女性あてに送った。そのままパソコンの電源を落とそうと思ったが、念のためメールチェックをしてみると、1通の新着メールを受信した。
<件名:始めまして忠則さん>
「 あなたが、メール送信する第1号の方です。わたしは、ご希望通りの中年女性で、関東地方に住む既婚者です。パソコンは若いときから仕事でなれていますが、メールは未経験なので、うまく届くか心配です。とりあえず、今回はこのくらいで送信してみます。着きましたら簡単でよいですから、返事を下さい」 林 雅子
あれあれ。いつのカキコだっけ?忠則は、毎日のように出会い系サイトに書き込んでいる。すぐにはどこの掲示板に書き込んでいたのか思い出せなかった。しかし、関東地方の、というキーワードである記憶がよみがえった。しばらく前、東京エリアの有名掲示板に<中年メールレディー募集>というタイトルでメッセージを打ち込んでいたことを思い出したのである。彼は、さっそく以下のメールを送信した。
<件名:メールキャッチしました>
「林さんメールは正常に受信できました。おめでとう。よかったですね。僕は、福岡の海辺の街で暮らす48歳のサラリーマンでした。しかし、昨年会社が倒産し、いまは求職活動中です。苦しい事、嬉しい事をメールで話せたらと思っています。今後とも宜しくお願いいたします」 横唐 忠則
横唐忠則は、福岡在住の48歳。25年勤めた、地場流通の会社を、半年前リストラされた。リストラに遭ったといえば、無能者の烙印を押されたようで格好悪い。5人いるメールフレンドには倒産で失職。ということにしている。現在、失業保険をもらいながら仕事を探しているが、思うような職は見つからない。 家族は、地方公務員の妻と金融関係で働く24歳の娘、居酒屋の店員をしている22歳になった息子の4人家族だ。
福岡市郊外に4LDKのマイホームを建てて15年になる。小さい頃は、父親の帰りを待ちわびていた娘もいまは一人暮らしをするようになった。近くの公園でよくキャッチボールをせがんだ息子も友達と遊んでいる方が楽しいらしく、口もあまりきかなくなった。



